2016年3月25日金曜日

海外ポスドクからの帰国とPI職

海外でポスドクとして働き、いい仕事をしても、自分の研究室を主宰する立場(principal investigator, PI)として帰国することは容易ではありません。

10年程前までは、海外でいい仕事をして第一著者として書いた論文が、CellやNature, Science(合わせてCNS)といった超一流雑誌に掲載されれば、それを実績として日本国内でPIとして採用されて帰国することができました。しかし最近ではそのようなケースは珍しくなっており、既存の研究室の准教授や講師、助教といったnon-PIポジションに収まることが増えてきました。

その原因として2つ考えられます。ひとつは、具体的な数字があるわけではなく業界内でよく言われていることですが、10年程前に比べ、海外でCNS論文を書いた日本人が増えたため、その実績の価値が低下してきている可能性です。もうひとつは、条件の良いポジションの公募が少なく、そういったいいポジションはほとんどがコネで決まってしまっていて、実績が評価されにくい状況になっている可能性です。実際、任期のないPIポジションの公募はほとんどありません。一方で任期のない教授職がいつの間にか同学内の准教授で穴埋されるのを度々目撃します。私の知り合いも9割くらいがコネでポジションを得て帰国しています

海外から帰国する時は、例えいい仕事をしたとしてもひとまずはnon-PIとして帰国して、その後じっくりコネを作ったりしてPIポジションに移行するのが現実的になってきています。

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