2016年3月5日土曜日

ポスドクや助教は責任著者になりにくい

多くの場合、ポスドクや助教は例えノーベル賞級の大発見をしてもノーベル賞はもらえません。もらえるのはボス(教授やリーダー)です。

通常、論文は複数名で執筆するものですが、著者の中で「責任著者 (corresponding author)」とされる著者がいます。基本的に、当該論文の評価は、責任著者に付与されます。例えば当該論文でノーベル賞につながる発見がなされた場合、ノーベル賞を受けるのは責任著者です。
 通常は、研究室のボスが責任著者になります。例え実際の実験をポスドクや助教がやっても、ポスドクや助教が責任著者になれることはほとんどありません。つまりポスドクや助教がいくら一生懸命実験をして大発見をしても、その主要な手柄は責任著者であるボスのものとなります。
 建前の理由は、文字通り「責任」です。万が一論文に不備があった場合、その責任はボスが負うべきであるという通念があります。しかし実際は現場で手を動かしたポスドクや助教も大きな責任を負うことになりますので、「責任のある人がcorresponding authorになる」というのは説得力のある理由ではありません。
 現実として当該論文の主要な評価は責任著者に付与されるのですから、その論文の根幹となる最も重要な貢献をした人が責任著者になるべきです。ポスドクや助教が当該研究を着想し、クリアな実験をデザインし、決定的な実験を実行しても、多くの場合、ボスが責任著者になり、全てを搾取します。

自分の貢献度に対して正当な評価を得たいのであれば、自分が本当に重要だと思う研究は、自分がボスになるまで温めておくのも一案です。

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